http://www.nicovideo.jp/watch/sm7203405
さあ ふ る え る が い い
とは言ったものの、この曲苦手。暗から明への音によるわかりやすいドラマ。
シュニトケの作品の中でも入門的な位置を占めるであろう。
ロマンチックな旋律があると思うと、二楽章は沈みっきり。三楽章ははっちゃけてる。
そして光の降るような終楽章。ちょっと恣意的な構成すぎるとも思うが、
まあ名曲といっていいんじゃないか!?
セディーン&セーゲルスタム bis
イヴァーシキン盤に比べ、チェロの力強さが劣るのは否めない。そこは、この熱い曲を演奏するにあたって致命的だ。
呼吸を一単位とするイヴァーシキンとは対照的に、この盤は楽想を一単位とする。その姿勢は非常に重大だと思う。
一楽章のスケールの大きな盛り上がりを弾ききるのに、呼吸がないと、聴いている側としても窒息しそうになる。
また音色がか細いので、それも息詰まりの原因となっている。
しかしバックのオケは凄い!響きは整理されていて、全てのパートがちゃんと聴こえるし、スケールも厚みも十分だ。
この盤、バックだけをとれば完璧であり、これ以上は望まない。さすがセーゲルスタム、田舎のマイナーロシア指揮者とは
一線を画す。チェロが生きるのは、遅い2,4楽章だ。攻撃力は0に近いが、内省と外向の際どい線上にあって奏でられる
瞑想的なチェロには、落ち着きさえ感じる。終楽章もすばらしいオケが手伝って感動的だが、やはり消極的なチェロは
好みを二分するだろう。
クリーゲル&マルクソン NAXOS
管弦楽の安定さが魅力。シュニトケのオーケストレーションは決して巧くないと思うが、それをカバーして、響きを良く整理してある。
他盤だと金管に押しつぶされぎみな木管に重きを置いてるのもよい。またこの盤をより特徴付けているのは、チェロの地味さである。
チェロは独奏楽器というより、完全に旋律の一部として、むしろオーケストラを彩る。決して積極的なチェロでなく、目立たない存在ではある。
しかしアダージョ楽章の抑制された響きはなかなか魅力的。この楽章だけは、チェロが光る。雑音味のない、美しいチェロだと思う。
しかしバックのオーケストラの、不完全燃焼度はどうしようもない。冷めた演奏である。一楽章は聴き手を鼓舞し、どんどん盛り上がっていくべき
音楽だが、とにかく盛り上がらない。音のバランスに拘泥するあまり、大切な音楽の大きな流れを奪われたかのようだ。
響きは綺麗で、むしろ堂々たるものだ。重厚さまで感じられる。しかし、それだけでは木を見て森を見ず、というものだろう。
終楽章もあまり高揚しない。感動しない。だが一番手に入りやすい、シュニトケ入門としては、お薦めできる盤である。
グートマン&ロジェストベンスキー Regis
圧倒的だ。私はこの盤を4番目に聴いたが、他の盤の存在意義を疑ったほどだ。初演者は違う。まず、オケとチェロのこれ以上ない親和性に、拍手しよう。
流石は一流の伴奏者、ロジェストヴェンスキーである。チェロを決して殺さず、生かしきり、自らは伴奏者としての位置をわきまえつつ、
意図されたオーケストレーションを鳴らしきる。木管が良く聴こえるのもよい。そして深い呼吸と滞空力。ひとたび息を吸うと、その長い持続のうちに、
吐息は底なしのように思える。それほどまでに巨大なスケールは、チェロとバックの別を問わない。これこそが協奏曲の理想の在り方だ、とすら言える。
シュニトケ、いや、協奏曲を聴きたいのなら、この盤を聴け、と言いたくなるほど、完成度は高い。グートマンのチェロは並み居る男どもを蹴散らすように、
まさに男勝りだ。美しい音色とは言いがたいが、ばりばり突進していく攻撃力はすばらしい。力強さで言えば、ややイヴァーシキンには劣るが、
アダージョ楽章のざらついた音色はいいアクセントになっている。
終楽章は、オケはなかなか爆発しない。抑えて抑えて、活躍の場をチェロに譲る。
チェロは息を無尽蔵に使い、気持ちよく昇天する。聴き手も天にも上るような体験ができる。そして本当に最後の最後、
オケは一切の空間を満たし、
その眩暈のするようなカタルシスは、他盤を寄せ付けない。三楽章でチェンバロが大音量で活躍するのも面白い。
ゲアハルト&クライツベルク
海賊盤。ゆえに多分ここで紹介しても、手に入れられる人は極稀であろう。
一楽章のチェロの大暴走を買う。ここだけは、音色を捨て去ってまで迫力を追求した精神において、グートマンやイヴァーシキンを
凌ぐ。かなりロマン派風の解釈で、それが全く違和感を感じさせないのは、この曲が古典化した証だろう。
だが終楽章は金管の息が続かず、寒い。隙間風がする。感動は、ない。
チェロも少しも美しくなく、小粒だ。
イヴァーシキン&ポリャンスキー CHANDOS
イヴァーシキンのチェロを聴くための盤。宇宙に吸い込まれるような冒頭に魅せられ、鬼気迫る迫力に聴くものは力負けする。
芯の強い音色で、よわよわしいオケを叱咤するように音を巻き上げてゆく。一転、アダージョ楽章には傾聴させられる。
影の濃い音色で、作曲者の心の隅まで透かす。これまた吸い込むような深い祈りにただただ聴き入るのみ。
また、美しさも十分で、漆黒の美とでもいうか、闇のうちに孤独を訴える悲しさに、美しさは出し惜しみしない。
三楽章はオケが弱いが、チェンバロとチェロとの掛け合いは面白い。
終楽章もやはりオケが弱い。盛り上がりに欠ける。が、イヴァーシキンのチェロは感動的な盛り上がり方をする。
チェロだけを採っても、購入の動機に十分なりえよう。グートマンの次に推したい盤である。